2022.04.01 No.261「創業50周年を迎えて」
今から50年前の1972年4月1日上田市中央4丁目(木町)にマキノ商会(現マキノ)が誕生しました。当時42歳だった父が脱サラして始めたことは家庭風呂を作る仕事でした。家庭風呂が本格的に普及したのは昭和の経済成長期でしたから、きっと父はそこに着目して起業したのでしょう。木町通りに借りた小さなテナントにはポリバスやステンレス浴槽などが所狭しと展示されていたことを覚えています。幼かった私にとってお店はまさにテーマパーク。浴槽に入って隠れん坊をして遊んだものです。父は起業してから盆と正月以外は殆ど休まず仕事に励んでいました。ですから幼少期に家族とどこかに出掛けたという記憶はありませんが、自宅兼倉庫へ材料を取りに来た時に数分間だけキャッチボールの相手をしてもらったことが思い出です。
今でも印象に残っていることがあります。毎朝父が出掛ける際、その日のスケジュールを母が念入りに確認していました。当時は携帯電話などの便利なアイテムがない時代ですから、朝出掛けたら父に連絡を取ることができなくなるので、留守を守る母にとってはスケジュール管理は重要だったのでしょう。緊急の場合はお客様のお宅に電話を掛けるというのが夫婦間での暗黙のルールだったようです。
時は流れて令和4年4月1日、父から会社を引き継ぎ24年を迎えます。私が経営者に就任してから歩んできた道のりを振り返って見ると、父がやりたかったことと私がやりたかったことがとても良く似ていたことに気付きました。父は既に他界していますが、もし夢が叶うとしたら、父にどんな思いで起業をしたのか、酒を酌み交わしながら話を聞いてみたいですね。たくさんのお客様に支えて頂き、おかげさまで創業50周年を迎えることができました。今後とも変わらぬご愛顧のほどお願い申し上げます。