2026.05.01 No.310「あの春を忘れずに」
散歩の途中、道端に咲くコバルトブルーに輝く小さな小さな花を見つけました。花の名はオオイヌノフグリ。春の訪れを告げる小さな青い花で、「星の瞳」という別名もあります。子どもの頃から好きな花の一つです。
今年は暖冬の影響か、桜の開花も例年より早まりそうですね。桜といえば多くの方がお花見を連想されると思いますが、妻の故郷である宮崎では、上田とは少々異なる花見の文化があるようです。
宮崎県民の陽気な気質を表すかのように、宮崎では「花より団子」ならぬ「花より酒」といった風情で、桜の開花期間中はブルーシートを敷いて昼夜を問わず大宴会が開かれるのだとか。酒が進むと隣の宴と自然とつながり、二次会、三次会へと広がっていき、気がつけば見ず知らずの人とも杯を交わしている――そんな光景も珍しくないそうです。宴の席での挨拶に「飲んじょる?」と声を掛け合うことから、イタリア語の挨拶「ボンジョルノ」になぞらえ、「ノンジョル」という言葉まで生まれたという話も頷けます。
一方、上田公園ではブルーシートを敷いて宴会が繰り広げられる光景はあまり見られず、その違いに驚かされます。
昨年12月、大切な大切な仲間を亡くしました。享年56歳という若さでした。彼はマキノ勇士会の中心メンバーで、確かな技術を持つ大工として、私たちが心から頼りにしていた存在でした。柱を抜いたり土台を入れ替えたりするような高度な技術を要する現場でも、彼の卓越した腕によって傷んだ住まいは見事に甦りました。
毎年、桜の季節になると、独鈷山麓の千本桜のお花見に誘ってくれ、温かくもてなしてくれたことを思い出します。
生前、「来年は花見ができるかな」と、ぽつりと漏らしていたそうです。
その一言が、今も胸を離れません。
だからこそ今年は、彼の想いも胸に抱きながら、独鈷山麓の千本桜を見上げ、彼の分までしっかりと目に焼き付けたいと思います。


